現在,消費税についてはもっぱら税率が議論されているが,実は,小規模事業者にとって遥かに大きな問題として,インボイス方式(適格請求書等保存方式)というものがあるようだ。
これは,2023年から,消費税の申告に際して,仕入れや経費の支払に際して支払った消費税額を控除できるのは,その仕入れや経費の支払についてインボイスがあるものに限られるという控除方式。
何が問題かというと,今までは,開業間もなかったり,消費税売上高が少ない事業者は,消費税の納税が免除されており,この制度自体は今後も存続するものの,免税事業者はインボイスを発行することができないので,例えば免税事業者から商品を仕入れた事業者は,仕入れの際に仕入先に支払った消費税額を控除できなくなってしまう。
そうなると,免税事業者からの仕入れが避けられるようになる可能性がある。
どうすればよいか?
道は2つだろう。
免税事業者を維持するか ,あるいは,敢えて課税事業者となる。
しかし,免税事業者の立場を維持するなら,売上が落ちるおそれがある。
課税事業者になれば,消費税を納税しなければならなくなる。
しかし,免税事業者といっても,自身の仕入れや経費に掛かる消費税は支払っているのであって,自分のところで高まった価値に対する消費税の支払が免除されているだけである(たとえば,100円で仕入れた商品を加工して150円で売る場合,仕入れの時点で100円に対する消費税8円は仕入先に支払っているので,売却時の150円に対する消費税12円のうち,実際に免税されるのは4円分だけである。)。
免税事業者は,消費税全額を納税すると事業が立ち行かないかもしれないということで免税されているのであるから,課税事業者となれば,やはり事業が立ち行かなくなる可能性は高いというべきだろう。
国も同じように考え,経過措置は設けられているものの,結局は,現在の免税事業者は,最終的には,厳しい選択を迫られることになる。
木村聡子(きむらあきらこ)税理士のブログ「キムラボ」にある以下のページが参考になる。
2023年10月からの消費税インボイス制度(適格請求書等保存方式)のまとめ
消費税の納税額の計算方法を理解しよう(特集インボイス制度)
あと,アニメーション作家の大桃洋祐氏がnote.muに投稿した「消費税とインボイス制度のざっくりとした長い話」にも,まとめられている。(実は,たまたまこの投稿に出会うまで,インボイス問題なんて知らなかった。)
大桃氏は,まさに選択を迫られる事業者であり,当事者として書かれている。
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