論文試験におけるポイント
司法試験の勉強一般に言えることですが,論文試験においても,実は,「もっとも良い勉強方法」「もっとも良い答案」というものは存在しないと思います。
私の経験からすると,客観性の強い択一試験の勉強についてすら,一般的な「最前」は,存在せず,人それぞれ,最前の勉強方法というものが違います。いわんや,論文試験においては,勉強方法も,答案スタイルも,各人ごとに「最前」は異なります。
そして,科目ごとに,勉強方法や答案スタイルについては検討し,自分にもっとも合うものを見つけ出す必要があると思います。
ここでは,私にとってもっとも良かった答案スタイルを披露します。以下では断定的に書きますが,それがあなたにとってもっとも良いとは限らないのですから,「そういう考え方もある」という程度に読んでください。
- 憲法:人権については,抽象的な議論はできるだけ押さえ,具体的な諸利益の検討に力を入れる。その際,合憲・違憲のいずれにするかを考えた上で,そちらに持って行くように論述する。合憲にするなら制限の必要性に力を入れ,違憲にするなら人権の重要性に力を入れる。抽象的な議論は,「人権制限は必要最小限度でなければならない。」という程度で十分。LRAなどの細かい議論は,諸利益の検討の中で,同じことを書く事になるので,抽象論として論じても無意味。…このスタイルは,うまく憲法論と感覚が合わないと書けないが,合うなら,内容的には好き勝手なことを書いてもA(昔の。上から1000人)に入れる。
統治については,「だれでも知っていることを淡々とかく」としか言い様がない。
- 民法&刑法:とにかく,条文。そこで要求されている要件は,全て挙げる。成立を認めないなら兎も角,認めるならば,すべての要件が満たされていることが答案上明らかになっていることが必須。解釈論は,その中で必要な範囲で書く。…これだと,「すばらしい」答案は書けないが,堅く治まる。今の基準でいうAは取れる。
- 商法:正直言うと,商法は苦手で,最後まで何を書けばよいのか分からないままだった。敢えて言うなら,「誰でも知っていることを普通に書く」こと。
- 刑事訴訟法:もっとも重要なのは,原理原則。憲法の条文や,「○○主義」「○○原則」を。そして,その制限・例外を。2問とも,これがちゃんとかけていれば,今の基準でいうAは確実。細かい条文的な解釈論は不要。
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