平成元年(A)
第一問
一 事務所捜索が適法なのは当然。
問題は乙を呼び止めチャックを開け,逮捕。
二 捜索については令状主義(刑訴・憲法)。
というのは,住居や所持品について国民は勝手に見られないプライバシー権を持っていると解される(13条)。
そのプライバシー権も絶対ではなく,刑事司法のため侵害も。
だが捜査官がどんどんできるとするとプライバシー権はなくなってしまう→原則として司法官憲令状。
三 バッグのチャックを開け中を見るのもプライバシー権侵害→令状必要
判例は強盗事件発生直後に緊急配備中に犯人らしき者のバッグチャック開けは警職法2条1項に付随するものとして無令状でなしうるとした。
でも警職法2条4号からいって,そんなのだめ。それが憲法にも。
四 でも本件では適法に捜索開始。そこにいたのがバッグを持って行こうとした。
もし中に捜しているのがあると大変→その中を見るのも捜索令状は含んでいる。
とすると,見たのは適法。
五 とすると適法に銃刀法違反発見→逮捕OK
--- 反省 ---
★捜査の問題は,まずは令状主義。
☆令状主義についてしっかり書けたのが良かった。ポイントは「二」と「三」の1行目。
☆本件の結論としては捜索を適法として,プレインビューの原則により逮捕は適法とするのが筋であろう。
☆「バッグのチャックを開けた」ので米子銀行事件を書くことを要求されているのかと思ったが,後から考えると不要だったであろう。
第二問
一 小問(一)
1 1も2も丙でない者の供述を内容とする。
丙の供述…320条1項後段
2 320条1項後段の趣旨…伝聞法則。
憲法が由来する反対尋問権。
なぜ?反対尋問で証人の知覚・記憶・表現・叙述の各段階の誤りを正す。
公判期日外他者供述を内容とする供述…供述者を尋問してもだめ。
3 1はたしかにあたるけど,この場合,丙の供述は犯人が言ったことの証明で,その内容の真実性の証明でない。
伝聞適用外。
OK
4 2は被害金額について
内容が問題
二 小問(二)
--- 反省 ---
★供述証拠の問題はまずは伝聞法則。伝聞法則は反対尋問=証人尋問権(憲法38条2項)保障のため。
☆伝聞法則についてしっかり書けたのが良かった。あとは,その適用の問題だけ。
☆答案構成を見ると,小問(一)2では,再伝聞を書かなかったようだ。多分,単なる伝聞で,「警察官が言っている」ということを立証してもしょうがないから無意味だと書いたみたい。
☆小問(二)では,実際は,東京高判により,伝聞法則不適用とした。
============================================================
平成2年(B)
第一問
一 常習…は実体上一罪。
項は既に逮捕勾留後常習で起訴。
別個のとばくで逮捕ということは,既に…をもう1度。
二 一般に再逮捕勾留できるか。
原則だめ。
事情があればいい。
三 起訴中にその事件で逮捕していいか。
保釈の取消しでいいか。
--- 反省 ---
★原則である一罪一逮捕一勾留をしっかり書く。
☆一罪一逮捕一勾留をしっかり書けなかったのが失敗。
第二問
一 無罪推定の原則。
近代刑事法の大原則。憲法31条!
明文ないが,前提とする規定。
犯罪事実の立証責任は検察官。
二 推定というものもある。
可動と不可動。
法律上と事実上。
推定を破るには。法律と事実は違う(?)
三 正当防衛
四 因果関係
--- 反省 ---
★立証責任の問題は明らか。ということは,無罪推定の原則が重要。
☆構成要件の違法性推定規定から,正当防衛についてはないことが事実上推定される。しかし,それは事実上の推定に過ぎず立証責任を転換するものではないので,その推定に合理的な疑いを生ぜしめれば,違法性があると認定することはできない。したがって,「いずれとも決しがたい場合」は,裁判所は正当防衛が成立すると判断すべき。
☆法律上の推定規定は立証責任を転換するので,「いずれとも決しがたい場合」は,裁判所は因果関係があると判断すべき。
☆本問で無罪推定がしっかり書けたので,非常に良かったと思う。第一問のできが悪かったと思われるだけに,第二問のできでBを取れたのだろう。
============================================================
平成7年(G)
第一問
一 逮捕
1 218条2項でない。
2 捜索,差押
人体…老廃物
令状
3 他説
4
二 してない
1可否。要件は。
2 連行
--- 反省 ---
★捜査の問題はまずは令状主義。
☆令状主義について全く書けず,テクニカルな論点に目を奪われたのが敗因。
第二問
一
1 黙秘権
例えば「アリバイ」
2 立証責任
3 証拠とできない
二
1 反省の色がない
2 権利
反省しているかとは別
--- 反省 ---
★当事者の問題はまずは当事者主義。
☆黙秘権は当事者に由来すると言って良い。当事者主義について全く書けなかったことが敗因。
☆権利の行使だから,黙秘も反省していないことの根拠にはならないと解したのは不当だったと思われる。
Copyright(C) 1996 山本 健一 (kenchi@kiwi.ne.jp)